テレビ不要論が叫ばれ、それに呼応するかのようにVODやFire TV Stickなどのメディアプレイヤーがもてはやされ、最終的にチューナーレステレビが発売されるようになりました。
一人暮らしではテレビを持たずチューナーレスやPCモニター、タブレットにスマホなどで見ることも増えました。
そんな生活を象徴するように、LGではスマートモニターという、PCモニターでありながらVODや独自OSを積んだモニターを出していて、その最新モデル”27SR50F-W”が11/28に発売となりました。
- 筆者が本製品の情報から感じた製品イメージ
- 製品情報から得た「この製品の良さげなポイント」
- 逆に「ここは不安だなー」
この3つの点についてまとめましたので、ぜひ一つの意見としてご覧いただければと思います。
製品ページを見ての感想を一言で
モニターとしてよりチューナーレステレビとして優秀
スペックを見る限り映像エンジン等は入っていなさそうなので、物としてはPCモニターになるんですが、独自のWebOSやインストール済みのVODを見る限り、チューナーレステレビとしてなら買ってもよさげ。
ただ、性能だけで見ると少し物足りなく感じることもあるでしょうから、何を求めるか次第といったところ。
好感が持てる点
スペックや製品の特徴などから見て、好感が持てるポイントを紹介します。
- 一人暮らしのチューナーレスにピッタリ
一人暮らしのチューナーレスにピッタリ
モニターとして評価しないんかい!?
はい、個人的にはモニターとしては評価できません。
詳しいことは後ほど書いてますが、端的に言うと「42,000円の価値があるモニターとはならない、中途半端」っていういうのが私の本機に対するモニターとしてみた場合の意見です。
ただ、これチューナーレステレビとして考えてみるとわりと好感が持てる製品ではあるんですよね。
本機のスペックは”割と普通”
簡単に本機のスペックを製品ページより、個人的に”ここは見ておくべきだな”という点を抜粋し、表にしました。
- 上から4つ目まで:PCモニターとして最低限、押さえておきたい
- HDR以降の項目:スマートモニターとして押さえておきたい
項目 | 本機 | コメント |
---|---|---|
パネルタイプ | IPS | 発色が良く視野角が広いのが特徴 |
応答速度(標準値) | 14ms | FPSや格ゲーなら1ms、それ以外は5ms |
解像度 | 1920×1080 | 4Kも入ってくるが、標準的なFHD |
リフレッシュレート | 60Hz | 一般的なモニターと同じ |
HDR | HDR10 | 明暗がよりハッキリしてきめ細かくなる |
eARC | 対応 | サウンドバーを利用することも可能 |
スマホ画面共有 | 対応 | ー |
Bluetooth | 対応 | ー |
OS搭載有無 | 搭載済 | 独自OSの”WebOS 23”搭載済み |
VODへの対応 | 対応済 | プリインストール済みも含め追加も可能 |
と、こんな感じで本機を分かりやすく言うと…。
独自OS+Bluetooth+VOD+eARC+FHDモニター=本機
みたいな感じでしょうか。そのため、モニターを主として考えた場合はどうしても選択肢から外れます。
後述していますが、4万円のモニターとなると4KやQHDなどこれよりも高性能なモニタになるので、正直、この価格帯でこれをモニターを主として買う理由はありません。
VODなどの動画専用(チューナーレス)としては?
で、冒頭に書いたようにチューナーレスとして本機を見ると、選択肢に入る理由が下記の5点です。
- モニタ&テレビ製造を手がけるLGブランドの安心感よ
- 動画鑑賞するならフルHDと発色の良さが特徴のIPSで十分
- アンチグレアが施されているため、場所を選ばず見れる
- 買って即使えるVODが色々と揃ってて手間が少ないこと
- 一人暮らしには使いやすいサイズ27と31.5インチを展開
以上の理由から、ゲームや動画鑑賞に強いこだわりがなければ選択肢に入れてもいい。
27インチチューナレス環境がある私だから評価する
そして、私自身はチューナーレステレビを持っているわけではありませんが、疑似的なチューナーレステレビの環境を構築している身でもあります。
上記、レビュー記事に書いてあるように私も
- Dell S2721DS(IPS/QHD)
- WALL A2
- Fire TV Stick
- PlayStation5
こんな感じで構築しているため、LGスマートモニターと同じとは言い難いですが、似たような環境にしていますが、27インチのモニターなら2mぐらい離れても結構満足だし、ゲームもガチ勢じゃなければそこまで不満も無し。
そのため、27インチと31.5インチの本機はわりとチューナーレステレビとして評価している。
買う手間や構築を考える時間を含めると価格も納得
モニターとしてみた場合、「4,2000円の価値があるモニターとはならない、中途半端」と書きました。
が、動画鑑賞専用のチューナーレスとしてみた場合、
- 製品を選択購入する手間と費用
- 自前で環境を整える手間と費用
- トラブルシュートにかかる時間
など、上記のリスクを含めて考えれば、価格も納得できます。
これらすべてを含めて「チューナーレステレビとしてなら私個人は好感が持てる点」として本機を挙げますね。
不安に感じる点
逆に、この製品について不安だなと感じる部分を述べていきます。
- 仕事も遊びも本機1台じゃなく専用になりそう
- 自前でチューナーレス環境を構築すれば安い
- 4万円を支払うならもっと良いモニターがある
仕事も遊びも本機1台じゃなく専用になりそう
製品ページ内にある製品の紹介PVがあったので、見たんですけど…。
その感想として、
この通りの生活をするのはかなり厳しい
最終的にPC利用か動画鑑賞用かどっちかになりそう
でした。
というのも、製品紹介PVのような生活をしようとした場合、パッと思いつく範囲で以下の点が不安になりました。
- 本機を中心とした生活空間が必要なため、生活導線や配置が大変かな?
- 離れて見ると、椅子の背もたれがモニタを隠すため、避ける空間の確保が必要
- ベッドから視聴する際の距離が3m近く離れてしまうため、画面が見づらい
生活導線や家具・家電などの配置問題
動画の冒頭からも分かりますが、製品紹介PVはこのスマートモニターを生活の中心に据えています。この方法は部屋が広いとやりやすいのだろうとは思いますが、1Rや1Kなどで再現するのはかなり大変かなと。
カリモク家具さまの3Dシミュレーターを利用して、1K10.5畳の部屋に製品紹介PVっぽく家具を配置させてみました。
- PCデスク
- PCチェア
- ベッド
- チェスト
- 書棚
を置いただけで、もうスペースが無くなってきています。これはほんの一例であり、レイアウト次第というのは分かりますが、部屋の広さや部屋にあるモノの量などによってかなり難しいとは思います。
PCチェアの背もたれでモニターが隠れる問題
モニタから離れて動画鑑賞などをする場合に限る話ですが、この問題は避けて通ることが出来ません。
それが、
背もたれ高くてモニターを隠してしまう
という実に厄介な問題です。
PCゲームが盛り上がって以降、ゲーミングチェアは一般にまで普及しましたし、それ以前からオフィスチェアを自宅に導入する人も少なからずいました。
- シルフィー
- バロン
- アーロンチェア
- GTRacing
- AKRacing
- etc….
PC作業用として普段から使う分には問題ないのですが、モニターから離れて見ようとすると背もたれが高すぎてモニターを隠してしまうのは、遊びも仕事もこれ1台で済ませるというのは無理があります。
解決策として、”①別のPCチェアを用意する ②PCチェアを避ける空間を用意する”がありますが、問題があります。
これだけを見ると、PCチェアを避ける空間のほうが良い!と思いますが、はてさて、生活導線や家具や家電の配置に苦労していたら、その余分なスペースは確保できるのでしょうか?
ベッドから動画鑑賞するには画面が見づらい
現実的にデスク上にあるモニタをベッドで見るには、27インチや31.5インチは見づらいんじゃないかなと思います。
- 筆者の私物を基にベッドからPCデスクまで一直線にした場合で計算しています。
- ベッドの長さは200cmとして
- PCチェアを引き出す空間として60cm確保
- デスク手前から40cm離れた位置にモニタ
この計算だと、ベッドに仰向けになった状態からモニタまでの距離は3m離れます。3m離れた距離にあるモニタは27インチもしくは31.5インチになります。
ちなみに、テレビには視聴距離があって、その視聴距離を基にテレビのサイズを算出すると下記の表になります。
モニタサイズ | 画面の高さ | 視聴距離(FHD) |
---|---|---|
27インチ | 37cm | 111cm |
31.5インチ | 44cm | 132cm |
60インチ | 75cm | 225cm |
70インチ | 87cm | 261cm |
80インチ | 100cm | 300cm |
実際には、70インチとかになると4Kになるので、FHD算出は合理的ではありませんが、それでも仮に80インチのFHDがあれば、それでようやく視聴距離3mです。
実家などにテレビがある人は、テレビのサイズと距離を測定してみて。ない人は、家電量販店で27インチもしくは32インチのテレビを3m離れた距離から見てみると良いです。
視力にもよりますが、小さくて見づらいと感じるでしょう。
故に専用機としての運用になるのでは?
上記のような理由で、遊びも仕事もこれ1台とはならず専用機として運用になるのではないのかな?と思いますが、そうなるとPCモニタとしては中途半端で、最終的に動画専用機になりそう。
この理由も含めて、チューナーレステレビとして好感を持っているのもありますが…不安ですねぇ。
自前でチューナーレス環境を構築すれば安い
既に話しているように、本機をパーツごとに分解していくと
独自OS+Bluetooth+VOD+eARC+FHDモニター=本機
このようになります。
PCモニター単体で再現できない部分は、独自OSやBluetoothやWeb閲覧、eARCなどになります。逆に言うと、この再現できない部分が不要であれば、PCモニターとメディアプレイヤーで再現可能。
つまり、チューナーレステレビとしての最小構成ならば、本機以上に価格を抑えることができます。
私もPCモニターとメディアプレイヤーで簡易チューナーレステレビを再現していますが、価格は下記の通りです。
製品 | 金額 |
---|---|
Dell S2721DS(IPS/QHD) | ¥23,799 |
Fire TV Stick | ¥3,980 |
合計金額 | ¥27,779 |
もちろん、いまは物価高もあってこんな格安では済みませんが、それでも42,000円より安く済む可能性は非常に高いので、ここまでの機能が不要で、買う人の求めるものによっては、蛇足になったりします。
4万円を支払うならもっと良いモニターがある
既に書いている通り、PCモニターとしては価格に見合った性能ではないと感じます。
私が軽く調べた範疇ですが、本機の定価42,000円前後以下でPCモニターを探すとこんな感じが候補に挙がります。
項目/製品 | 本機 | Dell S2722QC | BenQ EX2710S | IODATA EX-LDH271DB-B | Acer VG271Zbmiipx |
---|---|---|---|---|---|
インチ | 27 | 27 | 27 | 27 | 27 |
パネル | IPS | IPS | IPS | ADS | IPS |
解像度 | 1920×1080 | 3840 x 2160 | 1920×1080 | 1920×1080 | 1920×1080 |
レート | 60 Hz | 60 Hz | 165 Hz | 60 Hz | 280 Hz |
応答速度 | 14ms | 4ms | 2ms | 5ms | 1ms |
価格 | ¥38,182 | ¥46,000 | ¥43,273 | ¥17,800 | ¥46,800 |
細かく言えば、HDR対応や色域とかも考える必要はありますが…
ぶっちゃけ高スペックを選び放題ですわっ!!!
ということで、4万円を払ってPC利用を主とするなら、スペックに不満を持ちそうだなと不安になります。
動画専用機をお探しならアリ
ということで、本機について”遊びも仕事もこれ1台”にはならず、それでいて価格も42,000円とPCモニター利用を主とした場合には微妙と判断せざるを得ません。
ただ、手間暇を掛けず自宅でそこそこの大きさのモニターで動画鑑賞をしたい!っていう人にはピッタリかと。
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