テフロン加工とフッ素加工の違いが分からない
なんかセレクトとか書いてあるけどあれなに?
どうしたら長持ちするのかな?
安くてすぐ使えてノンストレスのテフロン加工ですが、皆さんどれぐらいのことを知っていますか?
意外と知らずに、便利だからという理由だけで買っていませんか?
備えあれば患いなしという言葉があるように、知らないよりも知っておいた方が良いに決まっています!!
なにせ、毎日使うものですしね。
そこで、今回はテフロン加工についてのアレコレを解説していきますので、一緒に勉強しましょう!!
そもそもテフロンとは?
そもそも、テフロンって何かご存じでしょうか?
テフロン加工って名前から、薬剤や加工技術と思いがちですが、これ商標です。
アメリカの化学メーカー”デュポン社”が、「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」にテフロンという商標をつけた
テトラフルオロエチレンの重合体で、フッ素原子と炭素原子のみからなるフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)である。
ポリテトラフルオロエチレン – Wikipedia
テフロンの商標は、2015年にアメリカデラウェア州ウィルミントンに本社のある化学メーカー”ケマーズ社”に移管されます。
日本では、三井・ケマーズ フロロプロダクツがテフロン PTFEの販売をしています。
テフロン加工とフッ素加工の違い
フライパンを買おうとして売り場に行くと…よく見かけるのが「テフロン加工」と「フッ素加工」です。
見比べたり、触ってり、使ってみて双方違いが分かりませんよね。
にもかかわらず、なぜ名前が違うのか?
その答えは、先ほども書いた「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にテフロンという商標をつけた」という部分に注目すると分かります。
フッ素加工とテフロン加工に大きな違いはありません。
二つとも、同じポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用していますが、テフロンは商標であり、ケマーズ社の原材料を使用して製造された製品のみを指します。
つまり、この二つは同じもので商標利用ができないので、フッ素加工を名乗っているのです。
テフロン加工にはグレードが存在する
テフロン加工されたフライパンを見ると、このような「プラチナ プラス」や「テフロンプレミアム」といった記載を見かけます。
簡単に言うと、テフロン加工における耐久性などを示したグレードとなっており、全部で6つあります。
ブランド名 | 耐久性指数 | コーティングの厚み |
---|---|---|
テフロンプラチナプラス | 700 | フライパン&鍋 42 ミクロン以上 |
テフロンプラチナ | 600 | フライパン&鍋 42 ミクロン以上 |
テフロンラディアンス | 400 | フライパン 35 ミクロン以上/鍋 30ミクロン以上 |
テフロンプレミアム(日本限定) | 400 | フライパン 35 ミクロン以上/鍋 30ミクロン以上 |
テフロンセレクト | 300 | フライパン 35 ミクロン以上/鍋 30ミクロン以上 |
テフロンクラシック | 100 | フライパン 25 ミクロン以上/鍋 25ミクロン以上 |
テフロン加工のグレード設定に対して、フッ素加工の場合はグレードがありません。
長持ちさせるために守りたい3つ
ここまでの話で、以下の3つのことを理解しました。
- テフロンとは商標名である
- テフロンとフッ素加工に違いはない
- テフロン加工にはグレードがある
しかし、どんなにグレードが高いテフロン加工のフライパンや鍋を買っても使い方を間違えると、あっという間にダメにしちゃいます。
少しでも長持ちさせるためにも、極力守っていきたい3つについて触れていきましょう。
さて、テフロン加工のフライパンを新しく買って注意書きを見ると目にもする内容として、
- 空焚き
- 金属調理器具の使用
- 急激な冷却
この3つがありますが、なぜ書かれているのか?という点について触れていきますね。
空焚きをしちゃいけない理由
ちょっと小難しいことを書きますが、フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレンの融点は327℃と高温に耐えます。
が、連続使用温度としては、260℃までとなっています。
連続使用温度とは?
長時間(40,000時間)処理した後に強度が50%以上保持する上限温度を指す
つまり、260℃を超えると強度が下がってしまうという事ですので劣化するってことですね。
フライパンで260℃って聞くと、あまり現実感がありません。
が、空焚きすると5分ほどで350℃に達すと言われるほど、あっという間に260℃の壁を越えます。だから、空焚き厳禁と書かれているわけです。
この辺りの内容に深く入り込んでいくと、ポリマーガス熱やPFOAなど科学の分野に近づくので省略します。笑
テフロンは脆いのだ!!
一般的にテフロンを含めたポリテトラフルオロエチレンの硬度は鉛筆硬度で表すと、「B~2H」とかなり脆いです。
なんなら、爪ですら傷つく可能性があります。
それほどヨワヨワなテフロン加工の表面にその何倍も硬い金属調理器具を突き立てるとか何事か!?
一部の製品には、「金属調理器具の使用OK」と書いていますが、その言葉を鵜呑みにして使うよりはシリコン製を使うなどしたほうが長持ちしますよ、きっと。
使い終わってすぐ冷やすのダメ!
使い終わってそのままにもするのも嫌だから、「ジュ~」という音ともにスポンジで洗っていませんか?
これほんとやめたほういいです。
以前、この件についてキッチン用品の企画・販売をしている和平フレイズさんも注意喚起しています。
なぜダメなのかっていうと、急激な温度変化をしてしまうと、フライパンの芯材と薬品であるフッ素樹脂のあいだに隙間ができてしまうため。
この隙間ができてしまうと、よく見かけるテフロンがボロボロのフライパンが完成するんですよ、なのでダメ絶対。
こういうことが起きるので止めましょうって話です。
閑話:テフロンが危険って本当?
テフロンをネットで検索すると、3番目辺りに「テフロン 有害」というワードが引っ掛かります。
で、色々と調べてみたんですが…
- ポリテトラフルオロエチレンは不活性で毒性もないが、劣化・分解時に生成される物質に問題がある
- インフルエンザのような症状を起こす「ポリマーガス熱」を引き起こす可能性
- テフロンが危険ではなくて、正確にはその助剤であるPFOA(パーフルオロオクタン酸)である
これらのことが分かった。
1つ目について調べていくと、確かに記録としてテフロン加工の鍋を使っていてポリマーガス熱の症状を起こした人というのがいるというのは確認できた。
が、内容としては『鍋に火をかけて寝てしまい,2時間後に呼吸困難を自覚』と書いてあって相当な時間、空焚きしたのではないかと読み取れる文章であるし、正直、そこまでやりゃそりゃそうだろという印象。
だからこそ、そうならないようにフライパンにも空焚き厳禁と書いているんだろう?ぐらいにしか個人的には考えていない。
次に、PFOAだが、そもそもPFOAはフッ素加工樹脂製造時の助剤として使われているです。
テフロンの生みの親であるデュポン社は、適切に製造されたフライパンには計測不能な程度しか残らず、ほぼ取り除かれているとのこと。
更に、ストックホルム条約の全廃リストにPFOAがリストアップされたことで、2006年1月末に米国環境保護庁が【PFOA自主削減プログラム】を立ち上げ、世界の主要なフッ素化学メーカーに参画を呼び掛けていて、国内のメーカーやケマーズ社なども参画しています。
国内メーカーのPFOAの取り組みとしては、ダイキン工業は「PFOAの使用及び製造を2015年12月末に終了した」旨を発表しています。
有毒だから避けたいというのは分かりますが、これだけ高度な情報化社会では有毒な物は隠しきれません。
もう一言二言、言わせてもらえば、それだけ有害なら既にニュースにもなっているし、世界中で反対運動も起きていてしかるべきだと思っていますし、それがないということが一つの答えなのでは?と思ってます。
危険だ!危険だ!と言わずに、なにがどう危険なのか?を調べることが必要なんじゃないかなと思いますね。
まとめ
ということで、ここまでのことを記事にまとめましょう!!
- テフロンとはデュポン社が商標登録したものである
- テフロンとフッ素加工に違いは無い
- テフロンは強度や厚みなどにより6つのグレードがある
- 長持ちさせるためには、空焚きしない・金属器具を使わない・急に冷やさないの3つを守る
こうしてまとめていくと、テフロンとフッ素加工の違いが無いことやテフロンは加工技術などを指す言葉ではなくて、商標登録された名称であることには驚きです。
更に、グレード分けされていることでテフロンとしての信頼性も高いのも納得。
ただ、薬剤であるためいずれテフロンが剥げて使えなくなるのは間違いありません。
が、正しい使い方と「なぜ、そんな使い方をしてはダメなのか?」という理由を含めた説明もしました。
これで、少しでも長く使い続けることができると思われます。
まぁ、何よりも剝げてきたなと分かったらさっさと交換して新しいフライパンを使いましょ。
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